記事一覧 ARTICLE

人手不足時代の動物病院経営に求められる新しい仕組み

動物病院業界は今、これまでにないスピードで変化しています。スタッフ不足、最低賃金の上昇、教育コストの増加などこうした課題が重なり、経営環境は年々厳しさを増しています。そんな中で注目されているのが、「人に依存しない仕組みづくり」です。

スタッフ不足が続く動物病院業界 Vets in Short Supply

現在、日本の動物病院の約半数が人手不足を感じています。
特に看護師は資格制度の変化もあり、採用しても長く続かないケースが増加しています。
教育に時間をかけてもすぐに退職されてしまい、残ったスタッフが疲弊するといった悪循環に悩む院長も多いのではないでしょうか。

こうした現状では、「仕組み」で人を支える発想が重要になります。
経験が浅いスタッフでも一定の成果を出せるよう、システムを活用して業務を標準化・効率化することで、現場の負担を大幅に軽減できます。

リード_06 イメージ1

流行る病院の共通点は「チーム力」

イメージ

人気のある動物病院ほど、スタッフの定着率が高く、飼い主との距離も近い傾向があります。
獣医師に頼りきりではなく、看護師や受付スタッフが主体的に飼い主と関係を築けていることが特徴です。

たとえば、飼い主が看護師を名前で呼び、「○○さん、ちょっと相談してもいいですか?」と気軽に声をかけられるような病院。
そこでは、スタッフ一人ひとりが信頼される“もう一人の相談相手”として機能しています。
こうした文化が生まれることで、医院全体の満足度も自然と高まっていきます。

デジタル化の波:WEB予約・電子カルテ・問診の現状

イメージ

全国の動物病院は約11,000件ありますが、WEB予約システムを導入しているのはまだ1〜2割程度。
電子カルテも導入率は低く、しっかり活用できている病院はごくわずかです。
一方、海外ではドイツを中心に電子カルテの普及率が80%を超えており、日本は大きく遅れを取っています。

ただし、今後はAI音声入力などの技術進化により、カルテ入力の手間が減少。
「書かないカルテ」時代に向けて、日本でも導入が一気に進むと見られています。

WEB予約システム選びの3つのポイント

病院の診療効率を上げるためには、自院の混雑状況に合った予約システムの選択が欠かせません。
特に以下の3点が導入時のポイントです。

順番待ち機能があること15分に1件以上の診察がある病院では、先着順の整理券制が便利です。
LINE連携ができることキャンセルや遅刻の防止に効果的。アプリ不要で飼い主も使いやすい。
診療メニューごとに細かい
時間設定ができること
ワクチンや検査など、内容ごとに適切な枠を設定できれば無駄が減ります。

理想は、「LINE・アプリ・ブラウザ」すべてで操作できるシステム。予約管理がシンプルになり、スタッフの手間も大幅に軽減されます。

WEB問診が生む

5分のゆとり

WEB問診を導入することで、診察前に主訴や症状を把握できるため、診察室でのヒアリング時間を約5分短縮できます。
たとえば「下痢」と入力された場合でも、「いつから」「形」「食事」など質問を自動で分岐してくれる仕組みが理想です。

この仕組みがあると、受付や看護師が同じ質問を繰り返す必要がなくなり、事前に検査準備も可能に。
結果として、1枠あたりの診療効率が向上し、より多くの患者をスムーズに受け入れられるようになります。

イメージ

電子カルテ導入で注目すべきは「会計までの流れ」

電子カルテを選ぶ際に最も大事なのは、「診療から会計までがスムーズにつながるか」。
カルテ機能だけでなく、会計の変更や追加処理が即時に反映できる設計かどうかがポイントです。
また、他システムとの連携性や、サポート体制のスピード感も選定の決め手になります。

タッチペン入力などの使いやすさに加え、音声入力や定型文登録といった“時短機能”を備えたシステムを選ぶと、より効果的です。

通信リスク対策とクラウド化の流れ

電子カルテや予約システムはクラウド型が主流ですが、通信トラブルに備えた対策も重要です。
おすすめは、通信回線を2つ契約すること。個人用と法人用で別回線を確保しておけば、ネットワーク障害時でも業務を止めずに済みます。
オンプレ型も悪くありませんが、今後の主流はクラウド。規模や診察スタイルに応じて柔軟に選ぶことが求められます。

システムは「もう一人のスタッフ」

イメージ

人材不足が深刻化する今、システム導入は単なるコストではなく、「現場を支えるもう一人のスタッフ」です。
人がやるべき業務を明確にし、システムがサポートできる部分を最大化することで、少人数でも高品質な医療を維持することができます。

これからの動物病院に求められるのは、「人×テクノロジーの最適なバランス」。仕組みを味方につけて、持続可能で質の高い動物医療を実現していきましょう。

執筆者
Profile

株式会社ねこのタミ 代表取締役 辻 建三

実際に動物病院の開業を経験したことで、無駄のないセンターピンをおさえたリアリティのあるアドバイスを実施します。動物病院の経営コンサルティング経験を生かし、開業後に持続的に飼い主様に選ばれ続ける病院作りを見据えた開業を体制を構築していきます。
また、ゴールが「開業」ではなく、「開業後しっかり繁盛するか」に定めており、黒字化するまでサポートを実施しています。

医療関係者とは500件以上接点があり、医療関係のセミナーを10年以上計100件以上
コンサルティング実施先は約80~100社
評価構築サポート 100社以上
EDUWARD Press 執筆
パナソニック株式会社 執筆

無料小冊子ダウンロード ご相談はこちら